俺は生きた | ナノ


  8 一つの身体と二つの魂


『やっぱりいた』
「やっぱりって何だよ」


次の日の帰り。
あの公園に寄ってみると、案の定奴がいた。


『今テニス部部活中じゃないの?』
「今週はテスト期間だろ」
『……あ』


忘れてた……。
ヤバい……勉強してない……。

そう思ったのが顔に出ていたのか、奴はクッと笑った。
私はムッとして言い返す。


『じゃあ勉強しなよ』
「嫌だね。俺は勉強というものが大嫌いだ」
『じゃあ柳くんはどうなるのよ』
「知らねーよ。あいつが勝手に沈んだんだ。勉強にでも疲れたんだろ」


柳くんが?
勉強に?
まさか。
だって柳くんと言えば学年トップだよ?
勉強に疲れたとかありえないよ。


「あいつは最近不安になることが多い」
『え?』


あいつって……柳くんのこと?


「最近体の調子が悪いんだよ。だから、思うように体が動かなくて、テニスがうまくできない」
『何で、』


どこか悪いところがあるの?


「……限界なのかもな」
『限界?』
「一つの身体に二つの魂が入ってるんだ。身体は普通の人の二乗のスピードで壊れていく」
『あ……』


身体が二つの魂を入れておくのに耐えられなくなっているってこと…?
じゃあ、アンタは……柳くんは、どうなるの……?

二人とも……近いうちにいなくなってしまうの……?


『……アンタ、』
「あ?」
『…………な、名前!! 名前無いの?』

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