5 怖い
"
ターゲットになってまうで?"
帰り道。
私はまた何となく河原を歩いていた。
ターゲットって……いじめ、だよね……?
でも……私から謙也くんにはほとんど……いや、絶対話しかけないし……
近づくなって言われても、隣の席だし……
"
黙れ"
ふとさっきの光景が頭を過ぎり、呼吸が苦しくなる。
ガタガタと訳もなく身体が震え出し、私は自分の肩を抱いた。
それでもヒュッヒュッと息が鳴り、過呼吸になってしまいそうだった。
怖い……怖い、怖い怖い怖い怖い
訳もわからず恐怖の波が私を襲い、つぅ、と涙が頬を伝う。
人に見られたら嫌だと思って、高架下の暗い所に行って、うずくまった。
必死に息を整える。
ふと地面を見ると、血がついた形跡があった。
そういえば……昨日、ここに狼がいたんだっけ。
いないってことは、帰ったのかな……
その時、
ガサ、
音がした。
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