4 どうして
「ちょっと。永島さん」
『え、?』
放課後、帰ろうと荷物を整理していた所、同じクラスの女子数人の団体から話しかけられた。
「探したんやけど。どこ行ってたん?」
『……ずっと教室にいましたよ……?』
「……」
女の子たちは何とも言えない表情をする。
午後は教室から1歩も出てないよ。
存在感無いから気付かなかったんじゃないの?
いつものことだけど。
「まぁええわ。それで、永島さんに言いたいことがあってん」
『……な、何でしょう?』
「単刀直入に言うわ。謙也くんに近づかへんでくれる?」
……え、
『元から近づいてませんよ……?』
ビクビクしながらそう言うと、彼女は溜め息をついて言った。
「今日の委員会決めの時、私"図書委員"を狙ってたんや。でも、謙也くんに取られた。その時は、謙也くんが入りたかったんなら仕方あらへんな、って諦めた。でも――」
彼女は私に1歩近づく。
私を見る彼女の目は、怒り、妬み、恨み……いろんな感情が混ざっていて……
怖い「図書委員に入ったんは、あんたやった。それって、謙也くんから図書委員を奪ったか、謙也くんに図書委員のマグネットを取るようにお願いしたかしたんやろ?」
『わ、私はべつに』
「
黙れ」
ガッと片手で首を掴まれる。
……少しでも何か言ったら……喉を潰される……
そんな恐怖が私を襲い、体が震え出す。
「ええか? 謙也くんと仲良くしてええのは、謙也くんファンクラブ会長の、この私の許可がおりた人だけや。もし私の許可無しに謙也くんと仲良くしたら……」
ぐっと首にかかっている手に力が入り、呼吸がしづらくなる。
彼女は私の耳元で言った。
「
ターゲットになってまうで?」
彼女は私からぱっと離れて、ニコッと笑った。
「ほな永島さん、また明日」
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