91 続き
「で……って何だよ」
「続きは?」
「ねえよ」
「え、私達どうなったの?」
付き合いましたはい終わり、で読者が納得できると思ってんのかおんたこなすめ。
「ぶっちゃけABCのどこまでいっちゃったわけ?」
「
言い方古っ ……まあ……A、か?」
「うっきゃああああ」
なにそれ恥ずっ!!
自分で聞いといて何故か自分が恥ずかしくなっちゃったよ!
「……え、でもさ、別れる前にこっちの世界来たってこと?」
「
別れるつもりだったみたいな言い方だな。そうだよ。付き合ってる時に俺とお前と――は、あいつに――こっちの世界に来ちまったんだ」
「
言いかけた言葉が非常に気になるんですけど」
ていうか、今まで宍戸の話聞いてて何となくわかったんだけど……
「宍戸ってさ……もしかして、
私がこっちの世界に来る直前のこと、知ってるの?」
「……」
宍戸は眉間に皺を寄せ、少し考えてから答えた。
「……ああ」
やっぱり……
「……でもそのことは、俺の口からお前には伝えられない」
「……どうして?」
「……お前にとって辛い記憶だからお前が忘れたのだとしたら、俺の口から伝えることは、お前を苦しめるだけだ」
辛い、記憶……?
辛い記憶なの……?
「……わかった。宍戸がそう言うなら、これ以上は聞かない。……でも、一つだけ教えて」
「……何だ」
「……私と貴方は、こっちの世界に来る直前、一緒にいたの?」
宍戸はまた考える。
私は静かにその時を待った。
そして、さっきより長い時間じっくり悩んだ末に、短く答えた。
「……ああ」
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