84 部室
氷帝学園の地下通路を通り、とあるエレベーターの前で車から降ろされる。
何だここ……
やっぱりお金持ちの考えることはわからん。
「帰りも送ってくれるんでしょうね?」
「家まで送らせるから安心しろ」
やったね。
跡部とエレベーターに乗って1階へ上がる。
近くで跡部の顔見るの初めてだけど、やっぱりパーツ1つ1つが整ってるなー……
特に目。
仁王の瞳も綺麗だけど、跡部の瞳もすごく綺麗。
"氷の帝王"に相応しい、青っぽい色。
でも光の具合によっては、群青色だったり、緑がかった青色にも見える。
「……何見てんだよ、アーン?」
「綺麗な瞳だなと思って」
思わず口に出すと、跡部はぽかんとして私を見た。
そして クッと笑った。
「白石たちが気に入る理由もわかるな」
「え?」
「こっちだ」
跡部が何て言ったか聞き取れなかったが、跡部はスタスタと先に歩いていってしまった。
ぼんやりしてると、エレベーターが閉まり始めたので、慌てて後を追いかけた。
「ところでどこに向かってるの?」
「男子テニス部の部室だ」
「
帰る」
「
馬鹿か」
すっと回れ右をしたら首根っこを掴まれ引きずられる。
「何で部室に行かなきゃなんないの!?」
「部室に会わせたい人がいるからに決まってんだろ」
「だから誰?」
「着いたぞ」
ガチャリとドアを開ける音がした。
げ、と一生懸命に反対方向へ行こうとするがやはり駄目らしい。
とんでもない力で引きずり込まれた。
あばよ日常
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