暁の空へ | ナノ


  83 あっそ


そう。
俺様何様跡部様がいらっしゃったのだ。


「何で私を誘拐したの? 金なんてばらまく程持ってるくせに」
金なんていらねーよ。お前に会って欲しい人物が氷帝にいる」


そいつを連れて来い!

何もあんな誘拐紛いなことしなくてもいーじゃん。

てか今から氷帝行くの?
氷帝といえば例の"宍戸"問題があるんだけど。
あ、宍戸に会わなきゃいいのか。

親玉が跡部とわかったので携帯で仁王に
"帰り少し遅くなるかも。ごめんね"
とメールした。


「てか私あなたと初対面だよね? まあ名前くらいは知ってたけど」
「お前、昨日の四天宝寺との練習試合見に来てただろ?」
「え」


何で知ってんの。


「白石がお前のこと話してたからな」


あー白石くんか。
ま、別にバレても悪い事は無いからいいんだけどね。


「で? 私に会って欲しい人って?」
「……着いたらわかる」


あっそ。

誰に会わせるつもりなのかな。
変な人じゃないといいな。


車が氷帝学園の近くの交差点で、氷帝学園と反対方向に曲がった。


「あれ、氷帝学園じゃないの?」
「誰も知らない氷帝の地下通路口から入る」

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