82 降ろせ
「降ろして下さい」
「申し訳ございませんができません」
車に押し込められ、ドアを閉められた後、間も置かず車が発進した。
しかし無理矢理車に押し込められただけで 手足を縛るとか口をガムテープで……みたいなのは一切無い。
というか、携帯もあるし。
連絡できんじゃん。
でも携帯使ってるのみたら奪われるかな。
とりあえず運転手の人に降ろせと言ってみたものの、やはり駄目らしい。
てか運転手さん良い人?
車はトンネルに入った。
「おい」
「え、」
後ろの席に誰かいたみたいだ。
暗くて顔は見えないけど……
親玉か!
「降ろして下さい」
「
何のためにこんなことしたと思ってんだ。アーン?」
アーン?
……
アーン?「マジかよ」
「何がだ」
車がトンネルを抜ける。
後ろに座っていた人物に日の光が当たった。
「
跡部って誘拐犯の親玉だったんだね……」
「
何でそうなる」
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