80 おやすみ
「え?」
だって、原作にはいない私がいるんだから。
すると、仁王がポンっと私の頭に手を置いた。
「何辛気くせえ顔してんだよ。らしくねえぞ?」
「ごめん……ってか
熱っ!! あっつ!!」
急いで仁王から離れる。
なんなんだお前の手はマグマが出てくるのか!!
ぼけっと自分の手と私を見比べる仁王。
あ、そうだった!
仁王は熱あるんだったよ!
病人と長話しちゃった!
「薬! 薬飲んで! いつまでも喋っちゃってごめん!!」
「大丈夫だって」
「
あなたの手は大丈夫じゃないから。手の為に早く薬飲んで寝て」
「て、手のために……?」
錠剤をスポーツドリンクで流し込む。
「おとなしく寝てなよ? そしたら明日には熱下がるはずだから」
「……ん」
母親みたいだな、とぼやきながらも布団に入る仁王。
いい子だ。
パチッと電気を消す。
「あ、でも明日は学校行っちゃダメだからね」
「んー……」
眠たそうな声が布団から聞こえてきた。
もう半分寝てるな。
「おやすみ」
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