暁の空へ | ナノ


  77 はじめまして


「え、だって……」


だって朝陽の大好物は桃でしょ?
と言おうと思ったが、仁王にさっきまでの記憶がないことに気がついた。

仁王は真っ赤な顔を枕に押し付ける。


「誰にも言ったこと無いのに……」
「え、何で」
「だって俺みたいな奴が桃好きって……格好悪いじゃん」


じゃんって何だじゃんって。
ブスッと膨れる仁王。
うん可愛い。

カミングアウトしていいかな?


「仁王」
「何じゃ」
「私、夕月なんだ」
「へー…………え?
「私が夕月です。はじめまして、朝陽」





一瞬の沈黙の後。







えええええええええええええええええええええええええ!!!!!!?!?!?!?




仁王の悲鳴が轟いた。

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