76 何で
「食べたいもの……」
「てか何か食べられそう?」
「……」
仁王は目を逸らす。
食欲なし、か。
でも何かは食べさせないとな……
あ、好きな食べ物だったら食べられるかな。
朝陽、大好きな食べ物あったよね。
「ちょっと待っててね」
「ん、おぅ」
「おまたせー。これなら食べられそう?」
「……え、」
私が持ってきたのは、カットした桃。
それを見た仁王は大きく目を見開いた。
"朝陽"は桃大好きだったよね。
"もものうた"とかうpってたし。
"桃と夕月、どっちが大事? 決め難いに決まってんだろ!!"
なんて言ってた記憶もある。
「な……んで……?」
「え?」
驚きで目を見開いたままの仁王は、顔を赤くして叫んだ。
「
何で俺の大好物知ってんの!!??」
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