75 やっぱり
仁王が眠ってからお粥を作り始めた。
何か食べないと薬飲めないしね。
でも仁王って少食なイメージあるんだよね……
お粥食べるかな……?
お粥を作り終え、仁王の様子を少し見に行くと、仁王はぼんやりとと天井を見たり、壁を見たりしていた。
「あ、仁王、起きた?」
「え、っ!?」
声をかけると仁王はガバッと起きた。
いきなり起き上がったらダメじゃん。
……ほら言わんこっちゃない。
仁王は頭をぐらりと揺らし、バタリとまた元の体勢に戻った。
「いきなり起きたらグラグラするに決まってるでしょ」
「五十嵐……ここ、」
「私の家だよ」
「え、」
その様子だと覚えてないな。
「あんた今日部活中に熱出してぶっ倒れたの。覚えてない?」
「……覚えてない」
やっぱり。
「あんたの家今週誰もいないんだってね。だから、私の家に連れてきてくれたの。背負ってきてくれた真田くんにお礼言いなよ」
「面目ない……」
顔を手で覆う仁王。
って、ちょっと待て。
部活中にぶっ倒れた記憶からないってことは……
「……仁王、あんたさっきの事覚えてる?」
「……え?」
その顔……覚えてないんだ。
複雑な顔で仁王を見てると、仁王は"何かやっちゃったのかな?"みたいな顔で布団を被った。
「ごめんなさい……」
「え、何で謝るの」
「いや……全く記憶になくて……全然覚えてなくてごめんなさいのごめんなさい」
いや、謝られてもね……
熱のせいだから仕方ない。
……今なら意識はっきりしてるから大丈夫かな。
「何か食べたいものある?」
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