74 覚えてない[少年Nside]
「あ、仁王、起きた?」
「え、っ!?」
五十嵐っ!?
ガバッと起きる。
が、頭がグラッときて バタリとまた元の体勢に戻る。
カッコ悪……
「いきなり起きたらグラグラするに決まってるでしょ」
「五十嵐……ここ、」
「私の家だよ」
「え、」
「あんた今日部活中に熱出してぶっ倒れたの。覚えてない?」
「……覚えてない」
マジかよ……
「あんたの家今週誰もいないんだってね。だから、私の家に連れてきてくれたの。背負ってきてくれた真田くんにお礼言いなよ」
「面目ない……」
熱出してぶっ倒れるのいつぶりだ?
そんだけ俺、自分のこと追い詰めてた?
熱出した原因は何となくわかる。
暁とルシフェルがうpった新曲"最後の闘い"が、前の世界での幸村のキャラソンにそっくりで、しかも作ったのが"夕月P"。
もしかして夕月もこの世界にいるのか、とか
五十嵐は夕月のこと何か知ってるのかな、とか
知らないうちにすごい考えてたから……
「……仁王、あんたさっきの事覚えてる?」
「……え?」
五十嵐が複雑な顔で俺を見てくる。
俺……五十嵐に何かしちまったのか?
「ごめんなさい……」
「え、何で謝るの」
「いや……全く記憶になくて……全然覚えてなくてごめんなさいのごめんなさい」
穴があったら生き埋めにしてほしい……
「何か食べたいものある?」
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