68 気になる関係[少年Aside]
幸村部長が仁王先輩のことを頼んだ その人が本当に大丈夫なのか心配で、幸村部長に着いていった。
他の先輩たちも心配だったのか、みんなで着いていく。
着いた所は仁王先輩の家の隣の家。
幸村部長がインターホンを鳴らす。
《今開けるからちょっと待ってて》
すぐにあの女の声が聞こえ、バタバタと急いで玄関のドアを開ける音がした。
「え、」
「やあ。有梨がもう着いててよかった」
「よっ」
チラッと体を傾け、その人を見る。
……どこにでもいるような、普通の女。
幸村部長たちと同い年くらいだ。
丸井先輩が親しげに挨拶する。
「幸村くん?」
「なあに?」
「何でみんな連れて来ちゃったの?」
「ああ、みんな仁王が心配だって着いてきちゃったんだよね」
こいつも、ファンクラブの奴らと同じなんじゃないか、と思ったが、幸村部長の対応からすると、その線は薄い。
「……残念だけど私は仁王の看病することしか承ってないんだ」
「うん。だから仁王置いて俺たちはすぐ帰るよ」
「え」
「え?」
……幸村部長や仁王先輩や丸井先輩とどういう関係なんだ?
「
何も企んでないから安心しなよ」
「
さいですか!」
「えー上がってっちゃダメなのかよぃ?」
「仁王の風邪移ったらどーすんの。帰った帰った」
シッシッと丸井先輩を追っ払うその人。
扱い酷くね?
てか丸井先輩と仲良いな……
「ごめん真田くん。今布団敷くからそのまま中に運んでくれる?」
「う、うむ」
真田副部長とその人が家の中に入る。
「幸村部長。あの人って、先輩たちとどういう関係なんスか?」
「気になる?」
「そりゃあ気になるっスよ」
幸村部長はまた笑って答えた。
「あれは、俺のお気に入りだから」
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