66 気になる[少年Aside]
[少年Aside]
仁王先輩が俺と打ち合いしてる途中にぶっ倒れた。
確かに何か昨日からフラフラでぼんやりしてた。
話しかけても上の空だったし。
それも熱のせいだったのかな、なんて……熱のある仁王先輩に気づけなかった自分を責める。
すると、幸村部長がポンポンと俺の頭を叩いて、優しく言った。
「赤也のせいじゃないよ。これは俺達みんなの……そして、仁王の責任だ」
少し納得がいかなかったが、こくん と頷いておいた。
しかし、すぐに仁王先輩を家に帰そうとしたが、仁王先輩の家は今週誰もいないことがわかった。
これじゃあ看病する人がいない。
でも幸村部長が"看病してくれる人なら1人残ってるよ"と言って、どこかに電話をかけ始めた。
《もしもし!!》
「
うるさいよ」
……女の、声。
誰だ……?
「あれ? 声だけでよくわかったね」
フフ、と幸村部長が笑う。
……幸村部長がこんな表情しながら話せる女って……
幸村部長がこの表情で話している女を、俺は知らない。
幸村部長は女を毛嫌っているから。
もしいるとしたら、親戚か、従姉妹か、家族か……それくらいだと思っていた。
「え? ああ、丸豚……おっと。丸井から携帯奪った時に見たんだ」
《丸井くんにも教えてないけど!?》
「だんだん丸井の扱いが雑になってきたね」
声のでかい女だな。
ちょいちょい声がもれて聞こえてくる。
……でも、この声どこかで聞いたことがある気がする。
つか丸井先輩の知り合い……?
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