暁の空へ | ナノ


  65 何故連れて来た


何で宍戸が私の名前を……?


帰り道で考えていることは、それだけだった。


どうして宍戸が……

私の名前は四天宝寺の誰かに聞いたのだとしても、何で名前を……



考えているうちに家に着く。

鍵を開けて中に入り、部屋着に着替える。






ピンポーン






誰か来た。


インターカメラを見ると、幸村くんの顔が見えた。


「今開けるからちょっと待ってて」


急いで玄関のドアを開ける。


「え、」
「やあ。有梨がもう着いててよかった」
「よっ」
「こんにちは」


何 故


「幸村くん?」
「なあに?」
「何でみんな連れて来ちゃったの?」


幸村くんの後ろには立海テニス部レギュラーの面々が勢揃い。
圧倒的な存在感を醸し出していた。


「ああ、みんな仁王が心配だって着いてきちゃったんだよね」


困った顔でそういう幸村くん。
愛されてるな仁王。

って そういや肝心の仁王の姿が見えないけど……


「あ、仁王なら真田がおぶってるよ」


真田を見ると、確かに毛布に包まった仁王を背負っていた。


みんなを見ると何かを期待しているような目で私を見てくる。


……いや、でも、ねえ?


「……残念だけど私は仁王の看病することしか承ってないんだ」
「うん。だから仁王置いて俺たちはすぐ帰るよ」
「え」
「え?」


……なんか企んで「何も企んでないから安心しなよ
さいですか!!
「えー上がってっちゃダメなのかよぃ?」
「仁王の風邪うつったらどーすんの。帰った帰った」


シッシッと丸豚野郎を追っ払う。

あ、こんなことしてないで早く病人を中に入れないと。


「ごめん真田くん。今布団敷くからそのまま中に運んでくれる?」
「う、うむ」

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