暁の空へ | ナノ


  63 イライラ[少年Sside]


[少年S side]


四天宝寺との練習試合。

いつもより観客という名の過激派のファンが多いわうるさいわで 俺はイライラしていた。

集中できねぇっての。


跡部に抗議するか。
跡部ならあれくらいすぐに追い出せるだろう。


「おい跡部」
「……」


跡部に声をかけるが、跡部は観客席の方をぼんやり見ていて、俺に気づかない。


「跡部?」
「っ、宍戸か。何だ?」
「何見てたんだよ?」


跡部が見ていた方向を見る。

そこには、うるさい奴らから遠く離れて 一人で座って試合を見ている女がいた。

見た所、帽子の鍔で顔は見えないが、金持ちでおしとやかなどこぞのお嬢様みたいな感じだ。


「跡部の知り合いか?」
「いや、知らねえよ」


跡部の知り合いじゃない?
全校生徒の顔と名前を記憶している生徒会長跡部が知らない人?


「じゃああいつは誰なんだよ?」
「知らねえよ」
「あいつって、もしかしてあそこに座ってるあの人のことか?」

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