暁の空へ | ナノ


  3 まさかの出会い


たまたま同じクラスで、席が前後で。
1年生の時はそんなに話すこともなく、1年が過ぎた。

2年生も仁王と同じクラスになった。
関係は変わることなくお互い"クラスメイト"と認識していた。


しかしその年の夏。
私はコスプレイベントに参加した。
リンのコスだったのでレンのコスの人を探していた。

そして見つけたレン。
すごくカッコイイのですぐに声をかけた。


「すみません。一緒に写真を……」
「ああ、すまんがそういうのは受け付けておらん。他を当たれ」


……この訛り、この声、は……


「に、おう?」
「!?」


そう言うと彼は私の腕を掴んでダッシュ。
速い速い。

そして人気のない所まで来ると、彼は私の肩を掴んできた。


「お、お前、だ、誰じゃ……?」
「覚えてないかもだけど、同じクラスの五十嵐です。五十嵐有梨」
「五十嵐……!?」


自己紹介すると彼は顔を真っ赤にして私から離れた。


「え、に、仁王……だよね?」
「あ、あぁ……」


この挙動不審、この声、ある歌い手と重なった。


「詐欺師……?」
「!? ななな何で分かったぜよ!?」


うわぁ。仁王って結構本性ヘタレなんだ。


「なるほど」
「何がぜよ!?」


涙目になったもんだから、それ以上からかうのは止めてあげた。


「と、所で……、五十嵐……さん?」
「ん?」
「五十嵐さんは……もしかして……暁、だったり……?」
「うん」
「マジで!? ファンです!!」
「おぉ、ありがとう」


こんな身近にファンがいたとは。
しかも詐欺師さんだったとは。


「一緒に写真撮って下さい!!」
そういうのは受け付けてないって言ってなかった?
「暁とわかれば話は別さ、ふっ」


誰だお前

prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -