暁の空へ | ナノ


  4 酒弱そうだよね


「え!?」
「かかかかか海堂うううう!!!???」
「海堂!?!?」


冷静な不二が急いで海堂を仰向けにさせた。
海堂の顔は真っ赤で、眉をひそめた不二が海堂の顔に耳を近付けた。


「……寝てる」
「ええええ」
「か、海堂が寝たああああ!?!?」
「大石、少し黙れ」


ムンクの叫び状態になっている大石を手塚が落ち着かせる。
てか海堂ってそんなキャラだったっけ……食べたら寝るって……


「……ねえ、海堂お酒臭いんだけど」
「え!? 酒!?」
「そういえば海堂のだけぶどうジュースみたいな色してる!」
「これは……」


手塚がまだ大分残っている海堂のグラスを持って匂いを嗅いだ。


「……ワインだ」
「「そうだろうよ」」


てか手塚にワイン似合いすぎて笑える


「間違ってご主人が出しちゃったみたいだね……」
「つか一口くらいしか飲んでねえじゃん! 海堂酒弱すぎんだろー!」
「どうしようか、完全に伸びちゃってるよ」
「……海堂の家に連絡してみよう」


ため息をついて手塚がスマホを持って外へ出て行った。
海堂はすやすやと気持ち良さそうに寝息をたてている。


「……二日酔いしないといいね」
「ははは、一口くらいでそれはないと思うよ」


こんなことってあるのね……
てかこれ原作通りだったら、こんなことがあったってことでしょ?
知らないところでこんなことがあったなんてね……

海堂の寝顔を皆で眺めていると、手塚が戻ってきた。


「渚が迎えに来るそうだ」
「え、渚来んの?」
「あの人カッコイイよなー!」


……"なぎさ"?


「誰?」
「海堂のお兄さんだよ。僕らと同い年」
「お兄さん?」


海堂にお兄さんっていたっけ……弟がいたのは覚えてるけど……


「たまに海堂に忘れ物届けに来たりするんだけど、海堂にそっくりなんだよね」
「へー」


つまり目付き悪いんだね。すぐ想像できるわ。


「何、気になる?」
「いや……海堂にお兄さんいたっけなって思って」
「え?」
「んー……でもまあ、私が忘れただけかもしれないし、気にしないで」


そりゃあテニプリのファンだったけどさ、キャラ一人一人の家族構成まで完璧に記憶してるわけじゃないしね。


「すぐ来れるそうだから、海堂の荷物をまとめておいてくれ」
「了解っす!」


桃が海堂の荷物をぽいぽいと手前に放り出す。
あーあーそんなぐちゃぐちゃにして……


「海堂のお兄さんってどこ中? 青学ではないよね?」
「うん。確か……氷帝だったかな」
「氷帝? テニスやってるの?」
「いや、その話は聞いたことないから多分やってないんじゃないかな」


……私と同い年だよね……?
だったら原作に出てきてもおかしくなくない?

思考を廻らせていると、ガラガラと誰かが店に入ってきた。

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