3 この世界の主人公
「不二先輩」
後ろから声がした。
この声は……
「どうしたの、越前」
越前リョーマ……主人公キター!!!
「……何すかこの人」
「ああ、気にしないで。心の中の何かと戦っているところだから」
突然の主人公に悶えていると辛辣な言葉をいただきました。
リョーマは不二の向こう側の隣の席に座った。
「てか本当に何なんすかこの人。不二先輩のただの友達じゃないですよね?」
「フフ……勘が鋭いね越前。……越前もよく知る人だよ」
「は?」
「え?」
不二、何言って……
「ほら、この声をよく聞いてみて」
「声?」
……まさか
「……"暁"……?」
リョーマが目を見開いて呟いた。
「嘘でしょ……」
リョーマもニマ動仲間でした。
*
「ねぇどういうこと不二くん純粋なリョーマをニマ動という沼に引きずり込んだのは貴方しかいないよね何してくれちゃってんのてか不二ってリョーマとそんなに仲良かったっけ」
「
ナイスノンブレス」
「え、ちょ、待、本当に"暁"なんすか?!」
身を乗り出して聞いてくるリョーマ。可愛いなオイ
「ニマ動で歌ってみたやってます暁です☆」
「マジっすかああああファンです! 俺サムライって言います!!!」
「おお、サムライさんかーいつもありがとねー」
手を差し出されたので握り返してあげると、リョーマはかなり感動した様子で もう一生この手洗わない……とか呟いていた。
汚いから洗おうね。
「……てか、リョーマってこんなキャラだったっけ?」
「そこも原作とは違うよね。僕、越前とかなり仲良いし。ニマ動の沼に引きずり込んじゃったのは不可抗力だからそこはなんかごめん」
小声で不二とコミュニケーションをとる。
……しかし、やっぱりテニプリキャラに割とニマ動やってる人多いんだね。リョーマは意外だったけど。
「暁さんと言えば、身体大丈夫なんすか?」
いつの間にか私の隣に移動してきていたリョーマが聞いてきた。顔近いっすよリョーマくん……!
「あー、何ともないよ。ごめんね生放送では意味深な発言して」
「ははは、全部本当のことだけどね」
「
黙れ不二コノヤロウ」
「え、じゃあ入院してたんすか?」
「ほらリョーマが食いついてきちゃったじゃんどうするの」
「大丈夫だよ越前。本当に寝こけてただけだから☆」
「うん確かにその通りだけど
言い方」
「なら本当に大丈夫なんすね?」
「うん、本当に」
「はあああ……良かったっす……」
安心したように息を吐いてすとんと椅子に座るリョーマ。
「……どうしよう不二」
「ん?」
「
持ち帰ってもいい?」
「
ダメに決まってるよね?」
可愛すぎんだろリョーマ……!!!
と、その時、ガターン!と後ろから音がした。
びっくりして思わず振り向くと、
そこには
座敷に俯せに倒れた
海堂がいた。
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