107 真実
宍戸は深く息を吐いて、私に向かい合った。
私もつられてピシッと座る。
「……生放送で"夕月"と出会って、"スフィア"っていう喫茶店で初めて対面して、そこから俺たちが付き合い始めたっていうことは、前に話したよな?」
「うん」
「俺たちが付き合い始めてから何カ月か経った後、"夕月"、"真昼の夜"、"雫色"、"朝陽"、"木陰"の5人でオフ会をすることになったんだ」
「オフ会、」
あ、ちなみにオフ会っていうのはネット上で知り合った人が実際に集まって親睦を深めることね。
あとここで再確認しとくけど、"真昼の夜"は宍戸、"雫色"は不二、"朝陽"は仁王、"木陰"は謙也くんね。
「場所は俺たちが出会った喫茶店"スフィア"」
不二も私も黙って宍戸の話を聞く。
「スフィアで集まって、何気ない話をして、そこまでは良かったんだ」
私は、次にくる言葉に息をのんだ。
「スフィアから出て、最寄駅まで一緒に行こうって時に、……
朝陽がおかしくなった」
"朝陽がおかしくなった"……?
「どういう、こと」
宍戸は意を決したように、私の目を見て言った。
「スフィアの前の信号を待っているとき朝陽が、夕月の……
お前の背中を、押した」
私は、雷に打たれたような衝撃を受けた。
朝陽が、私の背中を押した……?
じゃあ、私は……
「お前は、朝陽に……
久遠俊に、殺されたんだ」
「ちょっと待って」
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