98 変わらない
「ねー宍戸」
「あ?」
「私たちってさ、元の世界でもこういうふうにデートしたりしてたの?」
「ばっ、
これはデートじゃねえ!!!!」
「
ツッコむ所そこ?」
跡部と向日とチョタの余計なお世話により宍戸と可愛い小物ショップに来ました。
せっかく気を使ってくれたんだしこっちも気を使ってやろうってことで結局一緒に来た私たちだけども、来ているのは思いっきり女子の店で。
宍戸と店員の気まずさったらありゃしない。
「すぐ終わらせるから」
「は?ゆっくり選べよ。お前決めるの時間かかるだろ」
「え」
なんでそんなことわかるの、と訊こうとしたら、宍戸がふと棚のストラップを取って見せてきた。
うわ、めっちゃかわいい!
そして宍戸に激しく似合わない!!
「ほら、お前こういうの好きだろ?」
「よくわかったね」
そう言うと宍戸は一瞬ぽかんとしてから、はははっと笑った。
「そりゃお前、何回も無理やり連れて行かれたからな。好みなんて自然にわかっちまうよ」
「ええ?」
私が? 無理やり連れて行った?
「で、どーすんだよ? それ、買うのか?」
宍戸が取った物と、店内の物をぐるりと見渡して比べる。
「買う」
付き合ってくれたお礼にジュースでも奢ろうかと喫茶店に入った。
空いていた席に向かい合うように座ると、私は買ったストラップをさっそく携帯に付けた。
なんとなく目の前でぷらぷらさせながらストラップを眺める。
うん、可愛い。
すると、宍戸がふっと笑った。
「変わんねえな、お前も」
「人はそう簡単に変わらないよ」
すると、頼んでいたジュースがきた。
一口飲むと カラン、と氷が音を鳴らす。
「で?」
「ん?」
「何があったんだ?」
prev /
next