ハイキューアニメ2期おめでとう企画〜リレー小説〜 | ナノ


  4 アイデンティティー注意報


「まってまってまってやばいよこれ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」

「旭さんまだ乗ってもないっすよ!」



キャーという悲鳴が聞こえる。

ちょうどあと1、2組というとこまで来たところで、ジェットコースターのレールを見てしまった東峰は顔面を蒼白にしていた。



「だだだだだだって!あれ2回転くらいしてるんじゃない!?!?」

「してますね!」

「してるねぇ〜」

「すごく高いとこから落っこちてない!?!?」

「落ちてますね!」

「落ちてるねぇ〜」

「あんなの乗ったら死んじゃうよ!!!」




30分も並んだのに直前になって怖気づいている東峰と、それとは対照的にさらに目を輝かせている西谷に、松川は笑った。

しかしから黙っている金田一を見て、その笑顔は固まった。

東峰と同じように、いやそれ以上に顔面蒼白の、金田一を……



「!?どうした金田一具合でも悪いのか!?」

「い、いや……ちょっと近くで見たら高いなって……あはは」



さっきまでのはしゃぎようはどこへやら……金田一はジェットコースターを見てはブルブルと震えていた。



「あっ次っすよ!行きましょう!!」

「ヒイイイ……」

「まあ一瞬だし大丈夫だべ」

「だ、大丈夫すかね……」








ガタガタと、4人が乗ったジェットコースターが頂上へ登っていく。



「見てください旭さん!景色めっちゃいいですよ!」

「むりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむり」

「大丈夫か金田一〜」

「おちるおちるおちるおちるおちるおちるおちるおちるおちる」



前に見えていたレールが途切れた。
ヒュッと全員が息をのむ。


一拍置いた次の瞬間、遊園地内に野太い悲鳴が響き渡った。







――事件は、ジェットコースターから降りた後に起こった。

最後に降りてみんな荷物を持ったかどうか確認した松川は、驚きの光景を目にした……



「すみません松川さん……ちょっとトイレに寄っても……」

「……どちら様?」

「!?き、金田一です!!!!!」

「はっ!?!?お前……らっきょうはどうした!?!?!?」



松川がこう言うのも無理はない。
金田一のアイデンティティーであるあの髪形が、無残にも崩れ去り、ただのアシメスタイルになっていたのだから。



「あっこれでらっきょうって言われませんね!」

「その前に誰だかわかんねえよ!!おい東峰!西谷!……あれ?」

「あれ?どこ行ったんでしょう……」

「ここにいるよ……」

うわああああああああ!?!?!?!?



飛び退いた金田一。

そこにいたのはペチャ西谷と、長い前髪の間からこちらを睨んでいる(つもりは本人にはないのだがこちらからはそう見える)東峰だった。



「に、西谷……身長縮んだ?」

「縮んでないっすよ!?!?!?」

「ゴム切れちゃって……」

「こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい」

「金田一落ち着け!!!」




唯一無事だったのは松川だけだった。








ジェットコースター伝説。









髪型がアイデンティティの奴は、気をつけろ。
















その頃、お化け屋敷にも強烈な悲鳴が轟いていた……

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