ハイキュー短編 | ナノ


  【ひなやち】眩しいです


ゆうら様リクエストのひなやち!ワンドロ!


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部活終わり、珍しく烏野一年皆が揃って帰るところだった。

途中までならば皆一緒の帰り道なのだ。



「わー! すっげえ! 空めっちゃキレー!!」

「日向うるせえ」

「日向うるさい」

「うるさいよ」

「なんだよ皆して!!」



日向がぴょんぴょんと跳ねる

いつも通りだけど、元気だなあ……



「だって本当にキレーじゃんか! な、谷地さんもそう思うだろ!?」

「ひゃい!?」



突然話を振られて私は顔を上げて夜空を見上げた。



「わぁ……」



満点の星空。

輝く満月。



田舎だからこその風景なのかもしれない。

周りに街灯がないから、綺麗に見える。



「綺麗……!」

「だろ?」



ニカッと日向が笑う。

星も月も眩しいけど、日向の笑顔が一番眩しいよ……



「星も綺麗だけどさ、月も綺麗だな! 今日満月だからかな!」



日向が無邪気にそう言うと、月島がクスクスと笑った。



「随分大胆な告白だね?」

「あ? 告白?」

「ああ、馬鹿だからわかんないか」

「なんだと!!」



告白?

私の頭の上にもクエスチョンマークが浮かぶ。



「あ、じゃあ僕らこっちだから」

「じゃあ谷地さんよろしくね、日向」

「じゃあな」

「おうよ!」

「皆さまお疲れ様でした!」



月島くん、山口くん、影山くんと別れて、日向とバス停までの道を歩く。


私はさっき月島くんが言っていたことの意味を考えていた。


『随分大胆な告白だね?』



告白。

ということは日向の言動にヒントが……?



『星も綺麗だけどさ、月も綺麗だな!』



「あ」



ぽん、と私は手を叩いた。



「ん? 谷地さんどうしたの?」

「あ、いえ、さっき月島くんが告白がどうのこうの言ってたのでどういう意味かなって考えてて」

「あああ!! それ!! どういうこと!? 谷地さんわかった!?」

「うん」



谷地さんやっぱすげえ! 天才! 教えて教えて!と眩しい顔で言われて、私はくらりとめまいがしながらも うん、と笑顔で答えた。



「夏目漱石は知ってる?」

「なつめそうせき……? 聞いたことある!」



聞いたことあるって……まあ日向らしいな。



「有名な小説家なんだけどね。彼が英語教師をしていた時、生徒が "I love you." を "我君ヲ愛ス" って訳したのに対して、夏目漱石は "月が綺麗ですね" って訳したんだって」

「へー? なんかよくわかんねえけど、それってすごいの?」

「んー、直訳するのは簡単だけど、夏目漱石みたいに文学的に訳すのは難しいと思うから、すごいんじゃないかな」

「へー!」



なつめそうせきすげー! と日向は意味もわかっていないだろうが瞳を爛々と輝かせて言った。



「さっき日向、月が綺麗だって言ってたから、それを聞いて月島くんが大胆な告白だねって言ったんだと思う」

「なつめそうせきから言わせれば、あいらぶゆー! って叫んでるようなモンだもんな!」



へへ、なんか恥ずかしいな、と日向は頭をかいた。


まあ、そんなこと言う月島くんが博識なだけだけどね。



「日向なら、何て訳す?」

「え? おれ?」



少し、興味があった。

あまりそういうことには興味のなさそうな日向が、どういうふうに“I love you.”を訳すのか。


しかし、あまりにも長い時間唸っていたため、私は難しい質問をしたことに後悔した。



「ご、ごめんね難しい質問を……」

「むむむ……」



すると、突然前を歩いていた日向が振り返った。






「ん〜〜、横文字は苦手だ!! けど、谷地さんは大好きだ! これじゃだめ?」






だめじゃ、ない、です……と、真っ赤になったであろう顔を手で覆って、私は呟いた。



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