ハイキュー短編 | ナノ


  【かげやち】アイラブユーかげやちSS


ツイッターの相互さんのネタをいただいてアイラブユーかげやちです
↑の相互さんが漫画にしてくださったものが支部にありますので是非そちらも。


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ちょっと遅くなってしまった部活の帰り道。
バス停まで送ってくれると言う影山くんと二人で、暗い夜道を歩いていた。


「あ、谷地さん」
「え?」


あれ、と空を指差す影山くん。見ると、満月が夜空に輝いていた。


「わあ……」
「月、綺麗っすね」


影山くんのその言葉に、私は思わず えっ、と声をあげて足を止めてしまった。
隣にいたはずの私がいないことに気付いて、影山くんも私の少し前で止まって、不審げに振り向いた。


「?どうしたんスか」
「いや、えっと……影山くん、今の言葉の意味、知ってる?」
「意味?」


ああ、知らないよね、うん。
私は小走りで定位置である影山くんの隣に戻って、また歩き始めた。


「夏目漱石は知ってる?」
「ああ……現代文で出てきたような」


現代文に出てくる前に常識として知っておいてほしかったな。とは今更突っ込まず、話を続けた。


「有名な小説家なんだけどね。彼が英語教師をしていた時、生徒が "I love you." を "我君ヲ愛ス" って訳したのに対して、夏目漱石は "月が綺麗ですね" って訳したんだって」
「……それ伝わるんスか」
「ふふ、実際に言ったら伝わらなさそうだよね」


むう、と影山くんは難しい顔をして月を見上げた。


「……谷地さんは、どう訳すんすか?」
「え?……どうだろう……」


うーん、と考えても、私には夏目漱石のような文才もセンスもないから、なかなか思いつかない。
そう考えているうちに、バス停についてしまった。


「うーん、なかなか難しいね……」
「そうっスか……」


程なくして、すぐに私の乗るバスが来た。


「あ、じゃあ影山くん、送ってくれてありがとう。お疲れ様でした」
「っス」


プシュー、と音をたててバスの乗降口が開く。
私はいつも通りステップに足をかけ、整理券をとった。


「俺だったら、」
「え、」


後ろから突然影山くんの声が聞こえて、振り向く。



「アイラブユーとかよくわかんねぇけど、谷地さんがいないとだめッス!」



影山くんが言っている途中でドアが閉まり、バスが動き出した。


「……〜〜〜〜〜っ!!」


私はなんだか恥ずかしくなって、空いていた席に座り、真っ赤になったであろう熱い顔をリュックに埋めた。





影山くん


帰り際にそんなこと言うなんて


反則です




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