ハイキュー短編 | ナノ


  【つきやち】バニラとチョコ


ツイッターの相互さんのネタをいただいてめんどくさい月島のつきやちです


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月島蛍は、非常に面倒くさい人間である。



谷地がそのことに気づいたのはつい最近であるが、気づいてからというもののなんだか188cmの巨体の彼が可愛く見えて仕方がない。

クラスの友達と月島の話題になった時、「月島くんって可愛いよね」と口を滑らせてしまい、変な目で見られたのは新しい記憶だ。

月島の面倒くささは、たまには「ウザいな」と思うことはあるが、だいたいが可愛らしいものなのである。
本人は無自覚なのだろうが。


そんな面倒くさい月島くんと部活をするのもだんだんと慣れてきたこの頃。
部活に嶋田さんがアイスを差し入れに持ってきてくれた。



「アイスの差し入れだぞー!種類いっぱいあるから三年から取りに来―い」



アイスだアイスだとはしゃぐ面々。

確かに今日は雨上がりの晴天で蒸し暑かったのでとてもありがたい。マネージャーの分もあるのだろうか。
そう思ってぼんやりと嶋田さんを見ていると、「ちゃんとマネージャーの分もあるからな」と笑われた。


三年生、二年生とアイスが行き渡り、とうとう一年生の番になる。
嶋田さんは残ったアイスが入った袋を一番そわそわと待っていた日向に渡した。
日向はさっそく袋の中を漁る。

と、同時に影山くんがずりぃぞボケェ!と日向の元へ走って行った。
元気だなぁ……



「あ、谷地さんはどれがいいー!?」

「うぇ!?あ、余ったやつで大丈夫っす!!」

「そうなの?じゃあ月島はー?」

「どれでもいい」

「あっそー」



日向と影山くんが騒がしくじゃんけんを始める。
きっと月島くんはあのアイス戦争に飛び込んでいきたくないんだろうなあ。

山口くんが二人の仲介に入り、ちょっとして山口くんが余ったアイスが二つ入った袋を持ってきてくれた。
ありがとう山口くん、とお礼を言いつつ袋の中身を月島くんと一緒に見る。
バニラの棒アイスとチョコの棒アイスが入っていた。



「月島くんはどっち食べたい?」

「……どっちでもいい」

「……」



目をそらしてそう言った月島くん。


あ、これめんどくさいやつだ。
だんだんわかってきたぞ。


そう思いつつも私はバニラのアイスを取って、チョコのほうを月島くんに渡した。
溶けかけていたのですぐに袋を開けて一口食べる。



「〜〜〜〜〜っ」



冷たいアイスが喉元を過ぎていく。
糖分が暑さでぼんやりしていた頭にゆきわたっていく気がする。
幸せだ。

溶けてしまう前に食べよう、と口を開けてアイスを食べようとすると、隣からの猛烈な視線に気づいてしまった。

隣にいるのは言わずもがなチョコアイスを食べている月島くんである。
私はその視線に気づかないフリをしてまたアイスを頬張った。

月島くんは自分のチョコアイスは食べず、私のバニラアイスをじっと見つめている。



「……」

「……」



視線が痛い。
そんなに食べたかったんなら取れば良かったのに。


そう思いつつも、「しょうがないなあ」と自分のバニラアイスを月島くんのほうに傾けてしまう自分がいたのだった。


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