5 油断せずに
「手塚先輩…? に、何の用や?」
『さっき会ったんですけど、ドッジボールで鳩尾にボールがめり込んで、"
油断せずに逝こう"とか言ってたんで、大丈夫かなぁ…って』
「…それは心配やな。油断せずに"逝"こうって…」
よし。
うまくごまかしたぞ。
「手塚先輩は多分特力やろ」
『あ、特力すぐそこじゃないですかー
では』
「
ちょお待ち。何そさくさと行こうとしてんねん。"早くこの先輩から離れたい"みたいな感じで」
離れたいんです。
なぜかというと簡単に騙されてくれないからです!
『気のせいですよー
では』
「いやいやいや
俺も特力やし」
『中等部に行くんじゃないんですか?』
「教科書類置きっぱなしなだけやし、別にええわ。それに今は
手塚先輩が心配や」
どんだけ心配なんだよ――その時だった。
ドン…ッ
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