6 始まり
ドン…ッ『っ!!!』
「紗那!!」
巨大な爆発音と共に、雲で覆われ暗かった空が、一瞬真昼のように明るくなった。
それと同時に、熱風と熱風に飛ばされてきた木々やガラス、壁の一部の塊が、私と先輩を襲った。
財前先輩は私に覆いかぶさり、飛んできたものを自分の背で受け止めた。
「…っ、だい、じょうぶ、か?」
『先輩!! 私は大丈夫です!! 先輩、私を庇った傷が……っ』
「俺は回復のアリスやから平気や……」
『どこが痛いんですか? 言って下さい!!』
「……せ、なか…」
背中。
私は先輩の背中に手を当てた。
緊急事態だ、仕方ない。
――誰かからコピーした、治癒のアリス…
私の手が淡い光を放つ。
「……紗那…治癒のアリスやったっけ…?」
『それについてはまた後で。――どうですか?』
「平気や。おおきに」
良かった。
――それにしても……これは……
『
はじまった、のか』
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