48 勝った!
跡部先輩が視線をそらす。
不二先輩は微笑んだ。
「うん、いいんじゃない?」
『やったー!』
「うおぉおぉおお!!! 氷帝に勝ったぜバーニーングー!!!」
「紗那ちゃんのおかげだな!」
コートの外で頬を冷やしていた侑士先輩が跡部先輩に寄って来た。
「まぁ、あの結界を破られちゃあ、負けやわ」
「…そうだな。だが次は無いと思え!!!!」
ファッファッファッ!!!と高笑いする跡部先輩。
負けたくせに。
「ところで藍原。体は大丈夫なのか?」
跡部先輩が聞いてきた。
今日何回説明すればいいんだろう。
『今日は学校休みましたがもう元気ですよ!!』
「紗那ちゃんが来てからもう一ヶ月になるからね…慣れない環境で疲れたんだろうね」
……え?
『不二先輩、今何て言いました?』
「え? "慣れない環境で"…」
『もう少し前です』
「…"紗那ちゃんが来てからもう一ヶ月になるからね"?」
一 ヶ 月 … ?う、そ…
もう…一ヶ月…?だって、…
【近い将来…1ヶ月もしたら、学園が危ない】
【学園は最大の危機に見舞われることになる】
もう、時間が無いんだ。「紗那ちゃん?」
『あ、いえ、何でもないです。時間ってあっという間だなぁって思って』
「フフ、そうだね」
なんとかごまかした…
でも…そっか…
もう1ヶ月もたつのか…
「そういえば紗那ちゃん。病院は行ったの?」
『え゛、え……っとぉ……』
「うん。行ってないんだね。
さっさと行ってこようか」
『ハイ』
ああ、
不二先輩が微笑んでいらっしゃる…
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