26 任務
どこに向かって言うでもなく、そう言うと、近くの木の影から、仮面をつけた黒い服の人が出てきた。
悪趣味な格好してんな。
「よく気付いたな」
『誰』
「危力系のペルソナだ」
危力系…てことは…
「任務だ」
『…はい』
私は車に乗せられ、学園の外へ出た。
『…えーと、ペルソナ。
任務内容を20字以内で!』
「…今から行く建物内にいる人間を1人残らず殺せ」
『残念! 21字でした!』
「…建物も壊せ」
『……人の話、聞いてる?』
「聞いている。――任務時にはこの仮面をつけろ」
嘘だ。絶対聞いてない。少しむくれながらも私はその仮面を受けとった。
『…蝶?』
え、なんかちょっと可愛いんですけど!
『似合う?』
「……………………………………………あぁ」
『Σ何ですかそのとりあえず"あぁ"って言っておこうみたいな間は!!』
「着いたぞ」
『はーい』
ペルソナがうざったそうな顔をしてるのは気のせいということにしといて。
車から降り、その建物を見る。
うん、これなら簡単だ。
テニス部や特力の皆のアリスはコピー済みだし。
でも――こんなの子供がやることじゃない。
『ペルソナ。お願いがあるんだけど…』
私は財前先輩の"破壊"のアリスを使って、建物を一瞬で壊した。
中にいた人間も、死んでいるだろう。
『ふぅ…――
っ! ごほっ げほっ げほ…っ』
咳がどうしようもなくしたくなってしたら、手に少しだけ血がついていた。
思わず ふっと笑った。
『あーあ…少し使っただけでこれかぁ……っ、こほっ』
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