20 先輩の星階級
ハイ。
挨拶が終わったので青春チームのコートに戻ってきました。
さて、打とうかな〜♪
「藍原」
お、部長がお呼びだ。
「これから特力系だけ能力別クラスがあるんだが」
『え』
「お前の歓迎会
「まぁさっさと来いっちゅーことや(言ったらアカン言うたやないですか)」
「そうだな(すまない財前)」
あ、財前先輩。
財前先輩も特力系か。
「テニス部の特力系は、俺、財前、真田、日吉の4人だけだ。よろしく頼む」
『え』
このメンツって…
絶対、絶対、ぜえっったい…
「…」
「…」
「…」
「…」
『…』
喋らないもん…話さないもん…
口開かないもん…
う゛ー…
私こういう空気苦手ー…
そんな私の様子に気付いて気を遣ってくれたのか、財前先輩が口を開いた。
「――そういえば…紗那、スペシャルやったな」
『え? あ、はい…』
「…」
『…』
………え?
会話終了?財前先輩を見ると、"あとは自分で話展開しいや"と目配せしてきた。
『え、……っと、ざ、財前先輩は?』
「トリプル」
『! すごいですね!!』
「年下のスペシャルの人に言われてもあんま嬉しくないわ」
そりゃそうか。
『日吉先輩は?』
「…ダブルだ」
「アンタまだダブルやったんか」
『え、(それは言っちゃダメなんじゃ…)』
私は日吉先輩が怒っていると思い、おそるおそる日吉先輩を見た。
しかし日吉先輩は――
「下剋上…」
と、呟くだけだった。
…不思議な人だな?
『真田先輩と手塚先輩は?』
「うむ。俺も手塚もトリプルだ」
「でもアレっスよね。手塚先輩のトリプルはただのトリプルじゃなくて、トリプル"+α"って感じっすよね」
『あ、幹部生候補なんでしたっけ』
「……あまり興味はない」
『え?』
「…」
何となくだが、待っていても手塚先輩は何も言わないような気がした。
口が堅そうだしね。
どうしてなのかは知らないけれど。
――また、誰も喋らなくなった時、ちょうどよく特力のクラスについた。
ガチャ…
手塚先輩がドアを開け、手塚先輩、真田先輩、日吉先輩と中に入っていく。
私は財前先輩に背中を押される形で中へ入った。
すると、
パァンッ!
prev /
next