54 正しいのは、[日吉side]
[日吉side]
「俺は……」
跡部さんは、顔をうつむかせ、唇を噛みしめる。
皆が跡部さんの返答に期待していた。
「……俺は、間違っていない」
しかし、現実は そう甘くはなかった。
「跡部さん……?」
「俺は間違っていない俺は正しい俺はあのお方を信じている、」
はっ、はっ、と だんだん跡部さんの息が荒くなっていく。
……何か、様子がおかしい……?
「跡部さん?」
「俺は正しいあのお方は正しい、」
跡部さんから落ちた汗が、地面にシミをつける。
「跡部さん!」
俺は急いで駆け寄って、跡部さんの顔を上げさせる。
その瞳は虚ろで、焦点が合っておらず、光が宿っていなかった。
跡部さんはブツブツと言葉を言い続ける。
これ、は......
「……
自分にアリスを使っている……?」
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