53 蓮二の正体[真田side]
「はっ!?」
「ってことは柳先輩、」
蓮二はペンダントを仕舞いながらサラリと答えた。
「ああ、俺は
幹部会の1人だ。ついでに言うと、
記憶のアリスをもつ
特力系だ」
「な……っ!!」
「ま、まままマジっスかあああああああ!?!?!?!?」
興奮して叫んだ赤也以外の人も目を見開いて驚く。
一方の蓮二はいたって冷静だった。
多分、こうなることは想定の範囲内だったのだろう。
「今まで黙っていてすまない。しかし黙っていないと身に危険が及ぶ可能性があったのだ。……自分も、周りのお前たちも」
なるほど、と 柳が言うことだからよく意味もわからないくせに皆は納得した表情をする。
「蓮二に聞きたいことは山ほどあるが……今はこの仁王をどうするかが先だ」
俺は混乱する頭の中の情報を押し込んで、冷静に言った。
皆はまたこくんと頷く。
「まず蓮二、説明してくれ」
仁王が起きる気配が無いのでとりあえず状況を把握することにした。
蓮二は頷いて簡潔に話し始めた。
「……仁王は、"あの時のまま"なんだ」
蓮二は眠る仁王を見た。
「"あの時"……?」
「俺があの仁王を見つけ、俺のジャージをかけた時の状態のままなんだ」
「え、」
……ということは、仁王はあの状態のままかなり長い時間を過ごしたということになる。
「俺が思うに、あの仁王は……"
仁王の中の、もう一人の仁王"」
「仁王の中の……もう一人の、仁王……?」
蓮二の言葉に思わず疑問を口にしてしまった。
「全ては、あそこに眠る仁王と、"本物(オリジナル)"の仁王を対面させれば、全てがわかるだろう」
ぴくり、と 寝ているはずの仁王の瞼が、少し動いた。
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