ひだまり日記 | ナノ


  48 ごめんな[日吉side]


鳳が震える声で必死に言葉を紡ぐ。
きっと、かなりの勇気が必要な行動なのだと思う。


「……脅されている……?」
「……"自分の言う通りにしないと、仲間の命は無い"って……」


その時の事を思い出したのか、ガタガタと 鳳の体の震えが大きくなる。


「仲間って……俺達のことかよ……?」


宍戸さんが立ち上がって言った。
そして、鳳に近づく。



ドガッ



「っ、」
「宍戸さん!!」


宍戸さんは思い切り鳳を殴った。
宍戸さんは拳を震わせ、俯いたまま言った。


「お前はずっと……俺達の為に、ずっと一人で、抱え込んでたのかよ……」
「……っ」
「……、俺、たちは………俺はっ!!!


宍戸さんは鳳の胸倉を掴む。
目を合わせた二人の目には、涙が浮かんでいた。


そんなに頼りねぇ先輩かよっっ!!!!


鳳が大きく目を見開いた。


「何で俺たちに言わねぇんだよ!! 俺たちは、そんなに弱い先輩か!? 頼りねえか!? お前の言う"仲間"は……、そんな、そんなちっぽけな存在なのか!?


宍戸さんの目から涙がこぼれ落ちる。
しかし、宍戸さんは鳳から目を逸らさなかった。


「宍戸、さん……」
「……ダメな先輩だな、俺は……」
「、え」


宍戸は鳳から手を離すと、その場にうずくまった。


「……辛かっただろ……? 辛かったよな……長太郎……。一人で抱え込んで……」
「ぁ……」
「俺……そんな長太郎に……気付いてやれなかった……」
「っ!!」


俺達の出番は無し、か。
財前と目を合わせてため息をつく。


「ごめんな、長太郎……」
「宍戸、さん……」

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