38 逃げる?[財前side]
金太郎がPFの幹部だとわかった。
すると、今まで空気と化していた向日さんが口を開いた。
「な、なぁ。ソイツのアリスで跡部達止めてる間逃げた方がいいんじゃね?」
それに便乗して謙也さんも口を開く。
「せ、せや。逃げた方が安全や」
……ハァ。
俺と日吉が同時に溜め息をついた。
「馬鹿ですか向日先輩」
「な、」
日吉が向日さんに向かって言う。
「こんな状況で逃げるヘタレがどこにいるこのヘタレが」
「に、2回言われた……」
先を読めないのかこの先輩達は。
「いいですか。仮に、ここで俺達が逃げたとしましょう。どこへ逃げます?」
「そ、そりゃ、バラバラに、遠くに……」
日吉が言うことに俺も続く。
「俺達が逃げた後、金太郎のアリスが切れて、3人は俺達がいないことに気付きます。3人はどうすると思います?」
「お、俺達を探すんやないか?」
「「
それがどういうことだか分かってんのか?」」
ビクッと震える先輩(馬鹿)達。
「跡部さんたちはバラバラに遠くに逃げた俺達を探しに、バラバラに遠くに行くでしょう」
「それは
被害を拡大することになるんや。言ってる意味わかります?」
そう。
今 ここで白石先輩らを止めなければ、きっと この戦いは 終わらない。
「……逃げるのなら好きにして下さい。俺は戦う」
「俺もや。俺には責任がある」
「あ、ワイも!!」
「……ウス。跡部さん……を、放っておけません」
「……俺も。ここで逃げたら激ダサだぜ!!」
「やぁ〜ん男らし〜いv 小春も残っちゃぁうv」
「なっ!! こ、小春が戦うなら俺は小春を守る!!」
俺も、俺も、と先輩らが立ち上がっていく。
……しまいには、謙也さん達も。
しゃーない人たちや。
「邪魔しないで下さいよ」
「邪魔したら深さ100mの穴に落としますから」
「そら堪忍してえな……」
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