34 不二の過去-1[不二side]
[不二side]
!!
ここは……
「周助ーご飯よー」
「うん、わかったー!」
あれは……
小さい頃の僕と……母さん……
「にーたん、にーたん」
……、裕太…
「なあに、ゆうた」
「なんでにーたんは"ありす"あって、ねーたんとぼくには、ないの?」
……そうだ。
アリスを持っていたのは家族で僕だけだったんだ。
だから……
「不二さん!! アリス学園の者です!!」
ドンドンドンドン……
「! またスカウトが……っ」
「逃げるわよっ! 周助!!」
「由美子姉さんっ」
「裕太も!! 早く!!」
学園からの追っ手が来たら、僕の為に家族全員が逃げなければならなかった。
……それが、僕にとって苦痛だった。
僕さえいなければ、この家は幸せだったのに……そう思うようになった。
そんな時現れた、仮面の男……ペルソナ。
ペルソナは僕にこう言った。
「お前が学園に来るだけで、家族は幸せになれる」
だから学園に来い、と。
「お前さえいなければ……弟も、姉も……無意味に逃げ回らなくて良かったのにな」
prev /
next