22 意外と[主人公side]
「……クスッ……意外に気づくのが早かったねぇ」
冷たい風が、私たちの間を通り抜けた。
「そうだよ。僕のアリスは占いと
風使い。"風使いのアリス"は力が強くてね……表向きには潜在系だけど……
……僕は
危力系だよ」
「そん、な……」
「……不二」
『先、輩……』
私たちは……
誰を信じればいいの……?不二先輩が危力系だと知った途端に、"もしかしたら他の先輩たちも……"という考えが頭をよぎってしまう。
「紗那!!」
絶望に浸っていた時、リョーマが声をあげた。
私がリョーマの方を向くと、リョーマは口をパクパクと動かした。
"俺は紗那を、自分自身を信じてる。俺に任せて"
リョーマ……
私もパクパクと口を動かす。
"わかった……私も、リョーマを信じてる"
「何を……」
『先輩の目的は何なんです?』
「……目的かい? まぁ、簡単に言えば"学園を壊す"ことかな」
『どうして……』
「僕はね、
ここに拉致されたんだよ」
学園が…拉致……?
それで、学園を憎んで……
《……ね、……――……!!》
『っ!?』
突然頭痛と共に、脳内にぼんやりとした映像と音が流れ出す。
《ごめん……ね、――……!!》
《何も……してやれなかった……――……!!》
………な、に……?
これ…………き、おく……?
頭が……痛……い………
「少し休んでろ」――――誰……?
私は意識を手放した。
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