7 テニスコートへ
とりあえず、皆の元へ行かなければ。
確か……
【「緊急時の集合場所はテニスコートだ」】
『テニスコートへ行きましょう』
早く、くい止めないと。
私と財前先輩は雨も気にせず、全力で走った。
早く、速く……!!
「先生らは何してはるんや…?」
財前先輩がボソリと呟いた。
確かにそうだな…
超聴力のアリス使って情報集めてみよう。
――初・中・高等部で生徒たちが暴走しています!!
――反アリス乱闘だ
初・中・高等部で生徒が暴走…?
何故…
生徒は自分の意思ではやっていないはず…
とすると、一体誰が、どうやって……
「空が、」
『え…』
先輩の呟きに反応して空を見てみると、雨雲の下に、もっと黒く邪悪な空気が流れてきた。
さっきまで降り荒れていた雨風はなくなり、代わりに夜のように暗く静かになった学園。
「何が、起こってるんや……」
私はハッとしてまた走り出そうとしたが、全身ずぶ濡れのことに気づき、自然のアリスの[風]を使って財前先輩と私の体を一瞬で乾かした。
先輩は一瞬のことに驚いていたが、すぐに元のクールな顔に戻って、おおきに、と言った。
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