07
(Tsunayoshi side)

「凪。」
「あ、・・・つな、よし?」

 ベンチの片づけが終わり、体育館から出てくるころを見計らって声をかける。クローム、と呼んでいた呼び名は本人の希望により凪に変わった。ボンゴレ十代目の霧の守護者、クローム髑髏改め六道凪。彼女は骸と別な学校、誠凛高校に通っている。少し人見知りなところはあるけど、京子ちゃんやハルのおかげか、人前でおびえることもなくなり、どうやら楽しい高校生活を送っているようだ。俺が来ていたことに気づいてなかったのか、一度目が開かれたもののすぐに笑顔が戻る。そしてさすが凪、人前でボス呼びしてない・・・!

「久しぶり。部活ってバスケ部のマネージャーだったんだね。」
「うん。鷹の人がバスケ部だから・・・綱吉、も入るんじゃないかって思って。」

 そしたら、試合のときに会えるでしょ?と小さく首をかしげて照れくさそうに笑う凪は・・・なんというか、あざとい。この子一人で襲われたりしないんだろうか、とかお父さんみたいなことを考えてしまうくらいには、あざとくてかわいい。実際周りにた誠凛の部員たちは突然現れた俺と気を許してる凪に戸惑いながらも顔が赤い人がちらほら。

「え、あの、どちら様で・・・」
「あ、すいません。えーと、秀徳高校1年の沢田綱吉です。
凪とは中学からの友人で・・・。」

 年上であろう人に声をかけられ、遅ればせながらも自己紹介。女子のマネージャ?さんに凪ちゃんの?ていうか秀徳?!とオーバーリアクションをとられた。うん、仲良くやっているみたいで安心した。誠凛の集団の中にはさきほど試合に出てた赤髪の選手と水色の選手もいた。水色の人、集団に紛れると余計わかりにくいなぁ・・・気配はちゃんとあるから、気抜かなければわかる。

「綱吉、監督のリコ先輩。それで、主将の日向先輩。」
「ど、どーも。」
「監督の相田リコでーす!沢田君だっけ?君もバスケ部なの?」
「まあ、一応・・・初心者なので2軍ですけどね。」

 自己紹介し、俺の答えを聞くなりジーっとこちらを見てくる相田リコさん。正確には俺の身体、だ。あまりにも真剣な顔をしてみてくるもんだから思わずたじろいでしまう。すると、凪がそっと横に来て教えてくれた。なんでも視るだけで身体状態が測れちゃうとか。なんだそれ?いまいち理解できない俺。視ている本人に衝撃を与えていることに気づかなかった。

「え・・・(全部は見えないけど、筋力はいいとこ並なのに瞬発力と反射神経と体力が桁外れだわ・・・どういうことなの?!)」
「沢田君。」
「あ、君は試合に出てた・・・」
「一年の黒子テツヤです。」
「ああ、帝光中出身の。」
「はい。やっぱり、君は僕のことが見えているんですね。」

 水色の髪ので無表情、大きめの目をした彼は黒子テツヤというらしい。先ほどの試合で頭から血を流していたけども大丈夫なのだろうか?包帯してるし。見た目は儚い文学少年という印象・・・先ほどの試合を見ていなければバスケ部には思いにくい印象をあたえる。黒子君の確信めいた言葉に誠凛の部員たちは驚きの声をあげる。え、見えてるって彼幽霊か何かなの?!でも誠凛のみなさん見えてるよね?発言した本人は無表情ながらも嬉しそうなのが初対面の俺でもわかる。

「綱吉、黒子君は、人よりも影が薄いの。」
「あ、ああそういうこと!」
「六道さんも僕を見失ったりしませんし・・・不思議ですね。」

 それはね黒子君、俺たちは見えてるっていうか気配でわかるんだよ!なーんて言えやしない。意味わからないだろうし気配でわかるとか素で言われたら若干、痛い。高い確率で痛い人になる。まぁ本当に気配でわかるんだけど。暗殺者相手に死闘を繰り広げたことがあれば誰だって身に付くさ、うん。俺が遠い目をして苦笑いしたことが伝わったのか、凪も苦笑いをこぼす。

「それと、沢田君。」
「うん?」
「僕、バスケット選手とこんなに視線が交われるなんてすごくうれしいです・・・!」
「それ俺も思ってたよ黒子君・・・!」

 黒子君とははじめましての時、いや試合を外から見ていた時から親近感を感じていた。そう、身長がそこまで変わらない・・・!黒子君のほうが少し、すこーしだけ高いけど。黒子君から先ほどから目に見えてうれしそうにしているのかこのことだったのか。お互いカミングアウトした俺たちはそれこそ初対面とは思えないほどの親しみをもって名前で呼び合うようになり、硬い握手を交わした。周りでそれを見ていた誠凛の部員たちからは「あの黒子がすごい嬉しそう?!」「やっぱり身長きにしてるんだ・・・」などと小声の会話が聞こえてくる。おい誰だ身長のこといったやつ。

「おーい綱吉!そろそろ帰るぞー!」
「あ、はーい!」

 こちらに手を振って呼びかける和成は俺が誠凛に混ざって話をしているのをみると凪の存在に気づいたらしく、「え、凪?!誠凛にいったんだ、久しぶりー!」と声をかけた。凪は控えめに手を振りかえす。こちらに駆け寄ってこないってことは誠凛に挨拶する気ないな、あいつ。試合始まってから〜とか考えてそうだ。チャリアカーあって動けないってのもありそうだけど。

「じゃ、俺帰ります。凪、テツヤ君また今度な。みなさんも!」
「はい。」

 口々に挨拶を交わしながら和成とおそらく緑間君もいるんだろう、二人の元へ駆け足で向かう。緑間君は先ほど言葉を交わしてときよりも明らかに不機嫌を隠さずリアカーに座ってお汁粉を飲んでいた。ご機嫌斜めな女王様、そんな感じだ。すでに和成が漕ぐことに決まってるんだろうか、行きますか!との声に疲れたら変わると一言声をかけリアカーに乗った。






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