「消えたい。」



不安や苦しさが押し上げてきて、思わずそう口にしてしまった。

だけど言ったあと直ぐに後悔をした。
本当に消えたい訳じゃないのに。

一時の感情に任せて、とんでもないことを言ってしまった。



「どーしたの?リノ。」


それでもマットは優しく問いかけてくれる。


「ちがう、の……本当に消えたいわけじゃなくて…」
「いーよいーよ、わかってるから。」

ギシッとソファーを軋ませて降りてきて、彼は私の頭を撫でてくれる。


「誰だってそう思うときはあるよ?よく考えたら死ねない理由なんていっぱいあるのに、それも考えられなくなるぐらい辛かったんでしょ?」
「うん……」


よしよし、と彼が私を撫でる手から熱が伝わってくる。


「全部聞いてあげるから、全部言ってみ?」

優しくされて、あったかくて、涙が溢れてきてしまう。

「あらら、ほらほら可愛い顔が台無しになっちゃうよ?……まぁ、泣き顔も可愛いんだけどね。」




──Mt編──
辛くなったとき
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