どうしたら良いか、わからない。


生きていくのが、辛い。





部屋で一人、「死んでしまいたい」と呟いた。
──誰にも聞かれないように。



ふと、扉の方から漏れている光に気づいた。


「あ。」
「………用があって、ノックしたけど全く気づいてなかったな。」
「メ、メロ……」

誰にも聞かれないようにしたのに、なんというタイミング。

聞かれてないことを願う。

弱いところを見せたくないし、何より「死にたい」なんて言葉、常に死が近くにいる彼に失礼だと思うからだ。


「ごめんごめん、ぼーっとしてて。どしたの?用事って?」
「…嘘ついてるだろ。」
「へ?」


メロは扉を閉めて、私の前へ来てしゃがんだ。

「嘘、ついてるだろ?」

緑みがかった綺麗な、そして妖しさを孕んだ瞳でじっと見詰められて、思わず頷いた。

「死にたいと思うことぐらい、普通の事だ。」
「…聞こえてたのね。」


メロは私の頬を手で包むように触れて、口を開く。


「大抵は二、三日すれば忘れたりするもんだ。」

「だけど──」と続けて、頬に置いていた手を私の頭の上へ移動させる。


「それが蓄積すれば、感情が爆発して衝動的な行動に出てしまう。だから我慢することはない。俺に話してみろ。少しは気が晴れるかもしれないぞ?」


優しい顔で、頭を撫でてくれる。

「メロ……」

ポロポロと流れる涙。
私が泣き止むまで、彼は抱き締めていてくれた。



──M編──


辛くなったとき
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