会いたい







   ―会いたいよ。

   溢れる涙は止まらない。
   
   溢れる想いは止まらない。



   毎日テレビで報道される貴方。

   看板やCM、新聞、雑誌、たくさん貴方が写っているね。

   テレビ越しに見える貴方の顔は、とても綺麗で。

   その度に、涙が出そうになるんだよ。








可恋『トキヤーっ!!今度映画行かない?

    ほら、好きな俳優が出てるあれ♪』

トキ『いいですね。じゃあ、明日の10時にいつもの場所で』

可恋『いつもの場所ね!分かった♪』




   ―3年前。

   トキヤと一緒に過ごして、

   とても嬉しかった頃。

   毎日たわいもない話をして、

   一緒に歌を歌って、

   私の毎日はトキヤでいっぱいでした。

   そして、トキヤのアイドルデビューが決まって。

   とっても嬉しかったよ?

   でも―…………。





トキ『……デビューが報道されれば、もう可恋には会えません』

可恋『…え?なん、で……?』

トキ『事務所からの命令なんです…。「可恋と別れなさい」、と』

可恋『え?…ちょっと、待ってよなんの冗談っ?』

トキ『…………』

   冬。

   寒い公園で、いきなり告げられた言葉。

   私を見ずに、俯くトキヤ。

   あぁ、本当なんだ。…そう実感した。

   トキヤがデビューするのに、

   私はお荷物なんだって―――………。 


可恋『嫌だよっ…!私、トキヤに会えなくなるの、嫌だよっ……』

トキ『…私だって嫌です。でも…夢を追いかけたいんです……』

可恋『トキヤはやっぱり夢を選ぶのっ?

   私のことなんてどうでもいいのっ!?私、こんなにつらいのにっ!!』

トキ『そうは言ってません!!』

   声を荒げられ、少し肩が上がる私。

   …………あ。

   初めて見た。

   トキヤの


      泣いてる顔―――――…………。



可恋『…何、泣いてんの。男のくせに』



   情けないんだから―――…。



   あの日、初めて2人で泣いたね。

   トキヤって、あんな顔して泣くんだね。

   とても辛くて、寂しい泣き顔―…。

トキ『…………20歳になったら、迎えにきます』

可恋『……え?』

トキ『それまで私のことを好きでいてくれたら、私は可恋を迎えに行きます』

可恋『…………』

トキ『だから……それまで。さようなら……』

可恋『……うん』


   さようなら――――――………………。






   もうすぐだよ、私の誕生日。

   20歳の誕生日。

   私、ちゃんとあの公園で待ってるよ。

   また会えることを信じて―――………。










  「………迎えに来ました、可恋――………」









   そう言ってくれたとき、私はこう言おうと思うんだ。








  「…遅いよ、バカっ……」









   



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