わたあめ


柔らかくて甘くてわたあめの様だといつも思う。
だからこのことをチョッパーが知ったら好きになってしまうかもしれない。

サンジのことを。


優しく頬を撫でられて、その手は耳を包むように掠めてから、首…ちょうど襟足辺りに置かれる。
それから引き寄せられてキスをされる。もちろん無理矢理なんかじゃなくて、おれも応えるし求めるから、されるなんて言い方するのは変かもしれないけど。
だけどサンジの手は目は声は。触れてしまったら見つめられてしまったら聴いてしまったら逃げることなんてできない。
身体の力が抜けて抗うことができなくてまるで海楼石。

柔らかい空気に包まれて、甘い時間が流れて、触れるサンジの唇は柔らかくて甘い味がする。煙草の苦味もするけれど、甘い甘いサンジの唇。おれはこれが大好きだ。
肉とどっちが好きかなんて聞かれても困るけど、とにかくおれは大好きで。

キスをする度にに幸せな気持ちになって、もっともっとその柔らかさと甘さを感じたくて味わいたくてそれを独り占めしたくてお願いするんだ。


「誰にも味わわせるんじゃないぞ」


そうしたらサンジは困ったような嬉しそうな顔をして笑って。それから言ってくれる。

「当たり前だろ。誰にも味わわせる気はねぇよ」

その返事に嬉しくて笑えば

「お前もだぞ」

そんな当たり前のことを言う。



クルー達には栄養配分を考えた食事を。それからチョッパーにはわたあめを。

甘さも柔らかさもサンジには適わないけれど、そうでもしないと。この味を知られちゃったら、おれ困る。





END


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