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陽を浴びて、きらりと黄金のような輝きを一瞬見せた麦わら帽子。
それを被るルフィの背中はとても小さく、とてもでかい。
惜しげもなく晒されている腕はとても細く、とても逞しい。
細い腰から繋がる尻、そこから延びる脚さえも。
全てが。



思わず。好きだ、と言葉が漏れた。

けれどそれはあまりにも小さく儚すぎて、前だけを見て進む船を後押しする力強い風に乗って消えてしまった。
あっけない。
そうゆうことなんだろう、つまりは。


前をじっと見て、微動だにしなかった麦わら帽子を被った頭が、突如くるりとこちらを向いた。
思わずぎくりと体を強ばらせたが、その、こちらを見つめる大きく曇のない瞳から目が離せなくなる。
すうっとその目が細められ、丸い形が弧を描くと同時に、口までもが同じ様に弧を描いた。

「サンジ」

名前を呼ばれ、そのまま近付いてくるルフィをただ待っている。
おれの前まで来ると、ルフィはぴたりと止まった。身体と身体の距離は、拳3つ分てところか。
しかし、ルフィの手はおれの手に重なっていた。

「ル、フィ…?」

声が震えた。
いや声だけではなく、手も震えている。ルフィにはばれてしまっているだろうが、止めることができない。止める術を知らないから。

「なぁサンジ、届いてるよ」

「え…?」

「お前の、」

そこまで言うと、ルフィとの距離はゼロになった。
唇と唇が重なり、言葉の続きも、距離も消えたから。

しかしそれは一瞬のことで、すぐに唇は離れて距離もゼロではなくなる。今の身体と身体の距離は、拳2つ分。
それからすぐにルフィの腕がおれの首に絡まり、引き寄せられた。距離は拳1つ分。


そして、また言葉が漏れた。

「好き、だ」

小さく、けれど、あっけなく消されないようにと強く。



距離は、ゼロ。



「おれの気持ちも届いたか?サンジ」

それからそう言って笑うルフィに、今度はおれから唇を近付けた。





END


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