思いを言葉に

「すき」

そう言ったら、サンジの目がびっくりしたみたいに開かれた。

「…起きてたんか」

寝ているものとばかり思っていたから、おれも驚いた。
しかも聞かすつもりじゃなかった告白も聞かれてしまい、内心動揺。

だけど、その場を去らずに、じっとサンジを見つめた。
聞かれたなら仕方ない。このままサンジが何て言ってくれるのか待つことにする。

「…え?ルフィ?好き、ておれが?」

「そう。おれ、サンジがすき」

吃りがちに聞いてくるサンジに、こくりと頷いてそう返した。

「そう、か。仲間だし、な」

「仲間だけど、その『すき』じゃない」

「あー…、肉が『好き』の『好き』か」

「違う。サンジは食い物じゃねぇだろ」

「じゃあ…」

まだ何か言おうとする唇に、おれは自分の唇を重ねた。
当然サンジが言おうとしたことは遮られて。

「こうゆう『すき』だよサンジ」

唇を離して、そう告げた。
そうしたらサンジは困った顔をした。

やっぱりそうだよな。
サンジは女が好きなんだし、男のおれにそんなこと言われても困るよな。
あぁ何で聞かれちまったんだろう。





珍しくサンジが甲板で昼寝なんかしているから、傍に行って、じっと見ていた。
ぽかぽか気持ちのいい天気。

サンジの金色の髪の毛は、太陽の陽を浴びてきらきらしてて、微かな風にさらさら揺れていて。

触りたいなーなんて思ったから、少しだけ触ってみた。
そうしたら、さらさらしていて、気持ち良かった。

薄く開いた唇から息遣いが聞こえたから、今度はそこに触りたくなって。
ちょん、て指で触れたらサンジが身じろいだから慌ててやめた。

それから隣で頬杖をつきながら、じっと見てた。
ぽかぽか気持ちのいい天気。

そんな暖かさの中、静かに眠るサンジを見ていたら、好きだって思いを口に出さないのがもったいないな。なんて思って。

だから、届かないけれど。

「すき」

サンジにそう言ったんだ。





「あー…ルフィ?それマジで?」

まだ困った顔のサンジ。
もういいよ。
ごめん。困らせるつもりはなかったのに。

「うん、本当。だけどいいよ」

「え?」

「どうかして欲しいとか、言わないから。ただ、言いたかっただけなんだ」

にっと笑って立ち上がる。

このままここにいたら、要求をしてしまいそうだった。
本当はして欲しいことがあったから。

本当は、おれもだよ、て抱きしめて欲しかったから。


「じゃあ」と去ろうとするおれの腕をサンジが掴んだ。

その手は少し汗ばんでいて、いつもの冷たいサンジの手とは違ってた。
それに、ぎゅうって強い力。

「な、に…?」

思わず途切れた言葉で聞いた。

そうやって掴まれただけでも、ドキドキしてしまうおれは、本当にサンジが好きなんだと思う。
抱きしめられたいなんて思ってるけど、実際そんなことされたら、ドキドキしすぎて心臓壊れるかも。
キスしといて何だけど、サンジから触れられるのは、やっぱり違う。
さっきのは勢いもあったし。

そんな風に考えていたら。


そのまま腕を引き寄せられ、おれはサンジの胸の中に納まっていた。
背中にサンジの腕がまわされていて、ぎゅって寄せられて。

あれ?抱きしめられてる?

しっかりと認識するよりも先に、サンジが耳元で囁いた。




「おれもだよ」







何でサンジは、言ってもないのにおれのして欲しいことが分かったんだろう?

あぁ、ほらやばい。
心臓のドキドキが凄くて壊れそう。





END


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