あれから視線は感じるが何かされるということはなく一週間が経った。
実害はないとはいえ四六時中途切れる事のない視線にたか君は不安と恐怖から体調を崩しがちで学校を休みつづけている。
今はたか君が心配だからと無理言ってわたしも学校を休ませてもらっている状態だ。




「なぁ、葉月」

夕方、学校から帰ってきた謙也と侑士がわたし達の部屋にきた。たか君はまだ寝ている。

「あんな、笑わんと聞いてや」
「最近な、ずっと誰かに見られてる気がするねん」
「侑士もな、俺の家にいると誰かに見られてる気がする言うんや」
「なぁ、この家、おばけいるんかな」

謙也の言葉に息を飲んだ。
あの視線をこの子達も感じていたのか。
確かに子どもは霊を感じやすいしわたし達のような高い霊力を持つ人が近くに居れば影響されるだろう。


何を言えばいいのかわからずまごついているわたしの腕を誰かがつかんだ。たか君だ。
いつから起きていたのか、たか君は泣きそうな、でもどこか覚悟したような顔でこちらを見ている。
「全部、話そう」
たか君の言葉に侑士が何か知ってるん?とこちらを見つめる。

たか君が覚悟したのだからわたしも覚悟を決めなければ。

2人と目を合わせ、今までの事を全て話した。
妖怪が見えること。そのせいでたくさんの家を追い出されたこと。今回の視線もわたし達のせいだということ。
最後に、2人に嫌われるのが怖くてこの事を黙っていたことへの謝罪とこの家を出て行くことを。

話が終わり、部屋が静寂に包まれる。


「なんで2人が出て行くん?」


「へ?」

罵倒されるのを覚悟していたため変な声が出てしまった。

「2人は俺らの家族やん。後から来たのはそのおばけやろ?」
「謙也の言うとおりや。出て行くのは2人やのおておばけの方やん。」

さも当たり前のように言う2人にこちらが戸惑ってしまう。

「今の話きいてた?」
「聞いてたで!そのおばけは葉月達の事狙ってるんやろ?今出て行ったらそれこそ危ないやん。」
「そやそや!おばけが見えるくらいで2人のこと放り出すくらい俺ら酷くないで!」

むしろ守ったる!と言う謙也。さっきまでそのおばけに怖がっていたのは誰なんだ。

張り詰めていた空気が嘘の様に和やかになる。

「なぁ、俺ら4人でそのおばけ退治しよーや!」
「謙也にしては良い事言うやん」
「で、でも見えない事には対処できないし…」


「俺、できるかもしれない」

今まで黙っていたたか君が口を開く。

「夢で見たんだ。」
見えない妖怪を見る方法
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