6 フッタンジャナイノ。 ワタシガ、フラレタノ。 にわかに信じがたい事実を、チャンドラは頭の中で整理した。 振られた? ミリアリアが?? ――ディアッカに――?? 「ずっと……すれ違い、だったんだ」 言って彼女は、寂しげに空を見上げた。 青く透き通る空に、あの頃を思い出す。 「あんなに反対したのに、ディアッカは結局、ザフトに戻って……」 チャンドラも、その辺の事情は知っている。ヤキンの戦いが終わってから、ディアッカはザフトに戻るか悩んでいた。それを――ミリアリアがいつも反対していた風景は、まるで昨日の出来事の様に覚えている。 ――ミリィが駄目って言うなら、仕方ないか。 彼の知るディアッカは、そんな言葉で望郷の念を封じ込めていたが……最終的に、戻ってしまった。 古巣、ザフトに。 「そのあと、私も自分に出来ることがしたいって思って、戦場カメラマンになるって言ったら、今度はディアッカが、私のやることに反対して……」 ――人には「危ないから」って、散々ザフトに戻るなって言った割に、自分は平気で危ないことするのかよ!! だって――それが一番、より良い道だと思ったから。 ――俺は駄目でも、自分は良いんだ? 少しでも、同じ空気を味わいたかった。 離れていても、繋がっていたかった。 だから、遠く離れていても、同じ場所にいることを選んだ――のに。 ――もう良いよ。 そんなこと言わないで。 私は、貴方のやることを認めたの。 貴方も、私の道を咎めないで。 せめて、同じ世界にいさせて。 願いは届かない。 ディアッカは呆れ果て、大きなため息を一つつき、 ――……ついていけねぇ。 別離の言葉。 地球とプラント。居場所は遠く離れ、すれ違う日々が続き……それに伴い生じた摩擦は、いとも簡単に、ディアッカから別れを切り出させた。 こんなはずじゃ、なかったのに―― |