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「だから、AAだよ! アークエンジェル!! まだその辺ウロウロしてんだろ? ……や、別に大した用事じゃ……って、いーじゃんか、少しくらい!!」

走りながら、ディアッカは携帯に向かって叫んでいた。
すると受話器の向こうから、それを越える大音量の罵声が響いてくる。

《馬鹿者が!! そんなこと出来るわけ無いだろう! そもそも貴様、停戦やら何やらで忙しいこの時期に、休暇とは何事だ!!》
「だーかーらー、親父に呼び出されたって言っただろ!! なー、頼むよ、会いたい奴がいるんだ」
《会いたい奴??》
「話すだけ! ちょちょいっと通信繋ぐだけで良いから……お前の権限なら出来るだろ? 頼むっ!!」
《……繋ぐだけ、だからな》

仕方なくではあるが、白服の友人は、ディアッカの願いを聞き入れてくれた。





――ディアッカは、私のことなんか、もう何とも思ってないだろうけど。
私はまだ――





一度しか目を通していない文面が、頭の中を駆け巡る。





――ディアッカに今、恋人がいるのは分かってるけど――





「冗談じゃねえ……」

手紙の中にあった恋人発言――それは、十中八九『シホ』のことだろう。背筋も凍えるような誤解を、そのまま放っておくことは出来ない。
かく言うディアッカも、チャンドラがミリアリアの新恋人と思い違いをしていたわけで。

「……なんか、似たよーな勘違いしてんな」

くくッ、と笑みさえこぼれてくる。


さあ、AAに回線を繋いで、彼女は姿を現すだろうか。
居留守は利かない。月に居たチャンドラとミリアリア、そして停泊していたオーブ船籍・AA。
絶対乗っているだろう。彼女の性格なら、あの戦闘に首を突っ込んでも、おかしいところは何ら無い。


「待ってろよぉ?」


獲物を狙うような瞳に、迷いなんてあるはずもなく。
だって手紙にはちゃんと書いてあった。





――好き――



――前よりもっと、ディアッカが好き――





伝えられた想い。
今度はこちらが、伝える番――




end
結びに一言
これにて(一応)月面終了です。おまけでスペエピに続きます。

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