締めくくりは炭酸のキスで


「何やってんだよ……」

ぐちぐち文句を言いながら、ディアッカは床に零れたコーラを拭いていた。

「あ――あんたのせいじゃない! 変なこと言って……」
「別に変じゃないと思うけど?」

ディアッカの言葉に、テーブルを拭くミリアリアは口を尖らせる。
間違いは無い。
けど……悔しい。

「悪かったわね!」
「うわっ! 乱暴に拭くなって!!」

ミリアリアが勢い良くテーブルを拭き始めると、未だ大量に残っていたコーラの一部が、押し出される形で床に零れ落ちて行った。
数滴は、ディアッカの上に落ちる。

彼はシャワー浴びたてなのに――

「あ、ごめんっ! つい……」

台拭をハンカチに代え、ミリアリアはディアッカに駆け寄った。
テーブルから離れていなかった彼は、顔にもコーラが滴っている。
痛くないよう、濡れた所を優しく拭きながら……ふと、二人の目があった。
すごく近い位置に、恋焦がれる人の顔。


やがて――自然と二人の顔が近づく。
自然と――唇が触れ合う。


<……あ……>


瞳を閉じ、口の中に広がるのは、ほのかな炭酸の味だった――



from〜締めくくりは炭酸のキスで〜
結びに一言
1/28UP
[雪かき地獄の後は]から始まった三連作ラスト。ディアッカさん、滴るコーラに負けずにちゅーをするの巻。

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