甘い空気で一休み


「あっちーーーーー!!」

外から戻るなり、ディアッカは雄叫びを上げた。
コテージを借りて二人だけの小旅行――は、旅行先が異常気象で大雪なんて降られたからさあ大変。業者の排雪が追いつかないゆえ、宿泊客が雪かきに駆り出される羽目になってしまった。

哀れディアッカ、スコップ獲物に雪と格闘。

「寒かったんじゃないの? 外」
「寒いけど、雪かきしてたら汗かいて汗かいて……ちょっとシャワー浴びてくるわ」
「うん……」

台所に立っていたミリアリアは、ちょっと寂しげにディアッカを見送った。
目の前には、作りたてのコーンスープがある。

「……いらなかった……かな」

クスッと自嘲の意を込めた笑みをもらすと、作ったスープは冷蔵庫にしまわれた。代わりに出てくるのは、冷え切ったコーラ。
熱い&シャワーとなれば、冷たい物が飲みたいだろうと考えてのことである。

スープは……後で飲めば良い。

「あー、さっぱり……あれ?」

数分後、早々と浴室から戻ってきたディアッカは、テーブルの上に用意されたペットボトルを前に、首をかしげた。

「……スープ、無かった?」
「作ったけど……冷たい方が良いんじゃないの?」

言いながら、ミリアリアはコップに注ぎ始め――

「冷たいものよりも、ミリアリアの作ったものの方が良い」

きっぱりと言い放たれた言葉に、テーブルは一転、コーラの池と化すのだった。



from〜甘い空気で一休み〜
結びに一言
1/27UP
〜雪かき地獄の後で〜の続編です。
……この後は……

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