最後の夜に


その時、時計の長い針と短い針が、同時に12時を差した。

月が輝く深夜0時。
日付は――12月31日となった。

「……あ……」

いち早くそれに気付いたミリアリアから、小さな声が響いた。

「どーした?」
「あ……うん」

ディアッカの問いかけに、ミリアリアは時計から目を離さず、茫然と続ける。

「今年最後の一日だなあ、って……」

感慨深いものがあるのだろう。彼女の目は、まるで過去を投影しているかのように、焦点を合わせていない。

方やディアッカは、そんな彼女の思いが理解できなかった。

「うん……まあ、そーだなあ」
「何ソレ! ディアッカは何も思わないの?!」
「ってもなあ……それ言ったら、昨日は二度とやってこないし――」

そこまで言って、ディアッカは気が付いた。ミリアリアの顔が、激しく険しくなっていることに。

「……ディアッカ、あんた夢無さすぎ!!」
「うわあああっ! まて、ミリアリア! 包丁を振り上げるなあああっ!」
「問答無用っ!!」

剥きかけの林檎と獲物の包丁を高々にかかげながら、彼女はディアッカに襲いかかるのだった。



from〜最後の夜に〜
結びに一言
12/31UP
突発時事ネタ(笑) ちょっとロマンチストのミリィさんと、現実主義者のディアッカさん。

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